こどものがんの中で最も多くみられるものが白血病です。

 

 


白血病とはなんらかの原因で血液の中の白血球がガン化(異常な増殖)したことによっておこります。
血液中は3つの血球成分(白血球、赤血球、血小板)と血漿成分からなります。
それぞれの働きは・・・
 白血球:からだの中に入ってきた細菌・ウイルスなどを殺します。
 赤血球:酸素を体のいろいろな組織にまで運搬します。
 血小板:けがをしたときに、その部位へ集まって血液を固め出血を抑えます。
これらの血球成分が異常な細胞(白血病細胞)の増殖により数が極端に少なくなってしまうため、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱くなったり、貧血や出血傾向(軽い打撲で皮下出血や鼻血など)を起こしたりします。

こどもに多い白血病に、急性白血病と慢性(骨髄性)白血病があります。急性白血病には、急性リンパ性白血病急性骨髄性白血病の2種類に分かれます。
急性リンパ性白血病 こどもの白血病の中で約3/4を占めます。発症した年齢、発症時の白血球数によって治療に対する反応性に差がありますが、最も頻度の多い低悪性度のものでは約80%の患者さんは生存しています。
急性骨髄性白血病 こどもの白血病の中で約1/4を占めます。急性リンパ性白血病に比べると治療に対する反応が悪く、造血幹細胞移植の併用により約40-70%の患者さんは生存しています。(タイプにより若干異なります。)

 

化学療法(いわゆる抗ガン剤)
 それぞれの白血病には効きやすい抗ガン剤があり、数種類の抗ガン剤を組み合わせて約3年間治療を続けます。最初の半年は入院して、その後は外来通院に行います。
[副作用]
 どの抗ガン剤でもみられるもの:脱毛、悪心、嘔吐、白血球減少による易感染性、貧血、血小板減少による出血傾向、肝機能障害など。
 抗ガン剤特有のもの:アントラサイクリン系(心不全)、メソトレキセート(肝機能障害、口内炎など粘膜障害)、サイクロフォスファミド(出血性膀胱炎)など。 
放射線療法
 白血病細胞は頭蓋内にも浸潤することがあります。しかし、通常の抗ガン剤はこれらの場所へは到達しにくいために、頭蓋への放射線療法の予防照射を併用することがあります。最近は治療終了後の副作用(晩期障害の項参照)が見られるために、高悪性度の白血病にのみ使用されます。

化学療法や放射線療法だけでは予後の悪い白血病に最終的に行われる治療法。
以前は骨髄移植と言われていましたが、最近は骨髄血以外に臍帯血(へその緒の中の血液)、末梢血幹細胞なども用いるようになったために、造血幹細胞移植と呼ばれています。

☆★☆造血幹細胞移植の目的☆★☆
白血病細胞の根絶のために超大量の化学療法や放射線療法を行うことにより、本来正常であった骨髄細胞も根絶されてしまうために、新しい造血幹細胞を移植することで正常の造血を取り戻そうとすることです。

人間の免疫機構には他人の細胞を敵と見なして攻撃してしまう働きがあるために、免疫抑制剤を使って、せっかく移植した造血幹細胞を攻撃しないように調節します。
このため長期間感染に対する抵抗力が落ちたり、移植した細胞が患者さんの体を攻撃したり(移植片対宿主病)とさまざまな病態が起こる可能性があるために、造血幹細胞移植を専門で行う施設は限られています。

移植細胞提供者(ドナー)はHLAという白血球の型6種類が全てあった兄弟間の移植が一番安全なのですが、兄弟で一致する確立は1/4のため現在のような少子化の時代ではなかなかドナーが見つかりません。このため血縁者以外の方の骨髄(骨髄バンクに登録)や臍帯血(臍帯血バンクに登録)を使用する移植例が年々増えています。

治療法の進歩にともない、小児ガン=死ではなく、病気を克服して成人に達する子ども達が増えてきました。現在では若い成人1000人にひとりの割合と言われています。成長障害(身長が低い)肥満学習障害不妊などの内分泌的な障害二次癌などが起こる可能性があります。低悪性度の白血病は晩期障害が起こらないように化学療法の種類を変えたり、頭蓋放射線予防照射をやめたりしています。現在では、次の世代への影響はないものと考えられています。また、病名や病態をいかに子ども達へ伝えていくのかも含めた心のケアも重要な課題となっています。


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たくさんの子ども達と親が
病気と闘っています。

今までにたくさんの白血病を含めた小児がんの子ども達と関わってきました。骨髄検査や髄液検査は痛みを伴う検査であり、治療中の子ども達は入院中は何度も受けないといけません。また、化学療法に伴って食欲が落ちたり、白血球が下がるため部屋から出られなくなったりとしんどいことの連続のはずなのに、こどもたちはとてもパワフルで元気です。その根底には「病気をやっつけるんだ!」という気持ちが失われないこと、自分だけが戦っているんじゃない、という気持ちがあるからではないかと思います。入院中の外泊をとても楽しみにしていますし、外泊から帰ってきた子ども達はさらにパワーアップしています。
退院後、できるだけ早くに学校や保育園(幼稚園)などに復帰していることが彼らの気持ちにはずみをつけているように思います。小さいときに病気にうち勝ったっという経験をしたことが、同世代の子ども達と比べても精神的に強く、しっかりとした考え方を身に付けているように感じます。
その裏には、ご両親の愛情やはかりしれない苦労、兄弟のがまんなどいろいろな困難があることはいうまでもありません。
私自身、どれだけ子ども達からパワーをもらったか、そして医者としての成長が少しでもできたとするならば、この子達との出会いが大きかったと思っています。彼らがどんな大人となっていくのかを見守り続けたいと思います。
残念ながら亡くなってしまった大事な子ども達やご家族との話や出来事は、私にとっては忘れることはできませんし、彼らがいかに生きたかということを次の世代へ伝えていかないといけないと思っています。

君と白血病-この1日を貴重な1日に 医学書院
難病の子どもを知る本1 白血病の子どもたち 大月書店            
チャーリー・ブラウンのなぜなんだい ともだちがおもい病気になったとき 岩崎書店
種まく子供たち-小児ガンを体験した7人の物語 ポプラ社
がんとたたかう子どもたち  偕成社
わが子が、がんになったとき 講談社