ひろがれ!入院児保育 病院で子どもが輝いた日 2004/09/01(Wen)

 長期間、入院している乳児期から幼児期の子ども達に「遊び」を提供する必要を痛感させる本です。前半は、小児ガン(乳児期発症)の子どもさんを持ち、かつ養護学校の先生でもあった斉藤さんの手記、そして後半は、保育士の経験を持ち斉藤さんの知人でもある坂上さんが、ボランティアや訪問保育という形態で、長期入院中の子ども達と「保育士」として関わった内容を記した本です。私は病児保育室のある病院で働いた時に、「保育士」という仕事の意味を実感しました。看護師にも医師にも与えられない、保育士にしか子ども達に与えられないものがあるのだ、ということを。
 しかし、「病気に対する知識」を学んでいないため、現場で苦労している保育士達の姿も見てきました。実際、専門性の違いをお互いに理解し、関わっていくことが、子ども達、そして親たちにとって、いろんな方向から支えることができるのだ…ということを、その3年間で学ぶことができました。
 長期に入院を必要とする子ども達にとっては、もっと必要なものではないか、と思いました。けれど、院内学級でさえ、きちんと整備されていないのが現状です。病棟内保育士のいる病院はありますが、複数名常勤している病院は数えるほどではないでしょうか?年齢も、病気の種類も、育ってきた環境もさまざまな子ども達が集まってくる病院の中で、たったひとりの保育士ができることなど限られています。長期間入院し、いろいろなことと闘っている子ども達にとって豊かな環境を作ることができないのか…ということを知る上で、興味深い本であると思います。
 小児医療の現状は、関わっている医者も看護師も疲れているのです。本来はもっともっとマンパワーが必要な領域だと思います。こういう面から改善されていけば、より豊かな世の中になっていくのではないか、と思いました。こんな世界があることを、人ごとだと感じずに、読んでもらいたい本です。

くり坊