小児がん病棟の子どもたち―医療人類学の視点から 2003/04/29(Tue)

作者は臨床心理士であり、とある小児専門病院の血液・悪性腫瘍病棟をフィールドワークの場として、患者さんである子ども達、その母親、担当ナースや医師と対話し、「病棟社会の関係構造」を導き出している。
病院というのは、患者さんと彼らを治療する医師、ナースなどの医療従事者の世界であるけれど、小児がんという(ある意味)死と隣り合わせになるかもしれない病気においては、それ以外の第3者の介入が必要になるのではないかと考えられている。けれど、実際には心理士がその場面に入ることはほとんどない。このため、この本は複数名の子ども達の言葉から、子ども達が病態を説明されなくても、うすうす感じていること。親が子どもへの病態説明や病名告知を希望しないという思いを、子ども達は気が付いて対応していること、などの可能性を示唆しているという点では、興味深い本である。
実際、子ども達は自分の口から「病気の説明をしてほしい」と言っているわけではないのだけれど、なんらかの気持ちを感じているのではないか…と思った内容であった。そして、子どもを思う親の気持ちと同じくらい、親を思うこどもの気持ちというのも感じていかないといけないなあ・・・と、しみじみと感じてしまった。

くり坊